tools-en

GGGenome、BLAST、Bowtie による20-mer近似配列検出数の比較  

今回の検索条件では、同一の20-mer配列に対して GGGenome が554件、BLAST が255件、Bowtie が81件の近似配列を検出しました。

GGGenome が最も多くの候補を検出しましたが、この結果は本ページで設定した検索条件に基づくものであり、各ツールの一般的な性能や精度の優劣を示すものではありません。


VIM転写産物の5′末端20塩基をクエリとし、ヒトゲノム全体を対象に、編集距離3以内の候補数を計測した単一クエリのケーススタディです。各手法の一般的な感度を評価するには、複数のクエリと独立した正解集合を用いた追加検証が必要です。

同一20-merに対する検出件数(本ページ記載の検索条件下)

※検出件数は各ツールの検索条件やアルゴリズムに依存します。本比較は、各ツールの一般的な精度・感度・処理速度などの性能を直接比較するものではありません。

目次

評価条件

最終更新:2026年7月21日

※記載内容は2026年7月21日時点の各ツールのバージョン・仕様に基づく評価結果です。ツールの更新により結果は変わる場合があります。

GGGenome、BLAST および Bowtie について、短鎖配列に対する近似一致候補の検出数を比較しました。

項目

内容

検索クエリ

5′-GGGAGGCCCACGTATGGCGC-3′

クエリの由来

VIM(Vimentin)遺伝子転写産物 NM_003380.5 の5′末端20塩基

検索対象データベース

D3G Human genome GRCh38/hg38.p14(23.02)

検索対象

ゲノム配列全体

検索方向

両鎖(+鎖/−鎖)

評価対象

クエリ配列に対するミスマッチ、挿入、欠失の組み合わせごとのヒット数

使用ツールとバージョン

GGGenome パッケージ版 v1.2.1/BLAST 2.14.1(megablast)/Bowtie v1.3.1

検証実施日

2026年7月21日

ED = mis + ins + del

EDは編集距離(ミスマッチ+挿入+欠失の総数)を表します。本資料では ins は検索対象ゲノム側に対するクエリ配列の挿入(ゲノム側にギャップが入る状態)、del は検索対象ゲノム側に対するクエリ配列の欠失(クエリ側にギャップが入る状態)を表します。

本比較における検出数の定義

本比較における「検出」とは、指定した20-mer配列に対して、各ツールで設定した検索条件を満たし、検索結果として出力された配列候補を指します。

ミスマッチの扱い

クエリ全長20塩基を対象としたアラインメントにおける置換を数えます。GGGenome と BLAST は最大3ミスマッチ、Bowtie は -v 3 条件により配列全体で最大3塩基のミスマッチを許容します。

ギャップの扱い

ins はゲノム側にギャップが入る状態、del はクエリ側にギャップが入る状態として数えます。Bowtie 1 は gapped alignment をサポートしないため、挿入または欠失を含む編集パターンは検索対象外です。

検索結果の分類方法

クエリの未アラインメント部分に対応するゲノム配列を追加取得し、クエリ全長20塩基を対象としたアラインメントを再構築します。そのうえでミスマッチ、挿入および欠失の合計(ED)が3以下の候補を抽出します。

件数の集計方法

同一染色体、同一鎖および同一ゲノム領域に由来する重複候補を統合したうえで、ED 1〜3 の候補数を合計します。完全一致(ED 0)は含みません。554件、255件、81件はいずれもこの基準で集計した件数です。

座標表記

本資料に示すゲノム座標は、各ツールの出力を 1-based inclusive 形式に統一しています。

各ツールの検索条件

GGGenome — パッケージ版 v1.2.1

GGGenome は短鎖配列をクエリとした、編集距離に基づく網羅的な近似検索を行うツールです。DBCLS の提供するウェブ版と、レトリバの提供するパッケージ版があります。今回の評価ではパッケージ版 v1.2.1 を用い、下記のコマンドで検索を実行しました。

wget "http://localhost:xxxx/hg38.p14_d3g2302/3/GGGAGGCCCACGTATGGCGC"

BLAST — 2.14.1

BLAST は word hit を起点としてアラインメントを伸長するヒューリスティックな局所アラインメント手法で、NCBI より CLI としてダウンロードして利用できます。

blastn \
  -task megablast \
  -query VIM_20.fa \
  -db hg38.p14 \
  -out VIM_20_hg38.p14.csv \
  -word_size 4 \
  -evalue 10000 \
  -outfmt '10 std qseq sseq'

word_size 4

標準設定では megablast の word size は28であり、20塩基のクエリには使用できないため、初期完全一致シード長を設定可能な最小値の4に変更しました。BLAST では word 全体の完全一致が得られた位置を起点としてアラインメントの伸長が行われるため、word size を小さくすることで短いクエリに対するシード形成の感度を高めています。

evalue 10000

短い配列では偶然に得られる部分一致の統計的有意性が低くなり、E-value が大きくなりやすくなります。E-value によって候補が除外されることを抑える目的で指定しました。

megablast

マッチ/ミスマッチスコアが 1/-2 の場合、標準的なギャップコストは open/extend = 0/2.5 であり、blastn および blastn-short の代表的な初期値である 5/2 よりもギャップ開始に対するペナルティが小さくなります。ギャップ開始コストが比較的小さい megablast のスコアリングを基礎としつつ、20-mer の近似検索に対応するためのカスタム条件を採用しました。DUST は megablast のデフォルト設定を使用しています。

Bowtie — v1.3.1

Bowtie 1 は BWT/FM-index を利用した短鎖リードアライナーで、Johns Hopkins University から CLI が提供されています。

bowtie \
  -f VIM_20.fa \
  -x hg38_index \
  -v 3 \
  -a

この条件では、配列全体で最大3塩基のミスマッチを許容する非ギャップアラインメントがすべて出力されます。一方、Bowtie 1 は gapped alignment をサポートしていないため、挿入または欠失を含む編集パターンは本評価条件では検索対象外です。

検索結果の分類方法

出力されたアラインメントについて、クエリの未アラインメント部分に対応するゲノム配列を追加取得し、クエリ全長20塩基を対象としたアラインメントを再構築しました。その後、ミスマッチ、挿入および欠失の合計が3以下の候補を抽出し、同一染色体、同一鎖および同一ゲノム領域に由来する重複候補を統合しました。本資料に示すゲノム座標は、各ツールの出力を 1-based inclusive 形式に統一しています。

BLASTの検索結果の分類

上記条件による BLAST 検索では4,935件のアラインメントが出力されました。BLAST は局所アラインメント手法であるため、この出力にはクエリ全長をカバーしない部分アラインメント、編集距離3を超えるアラインメント、および同一ゲノム領域に対する複数のアラインメントが含まれます。共通の評価基準に従って正規化した結果、255件が有効候補として採用されました。これら255件はいずれも GGGenome で検出された候補と一致しています。

例)chr1 11659146-11659162

BLASTの検索結果(18塩基中ミスマッチ1・挿入1、evalue=3495)

クエリ全長の20塩基まで伸長した結果(20塩基中ミスマッチ3・挿入1)

この場合の編集距離は4となり、検索結果としては不採用としました。

結果

結果サマリー

検出件数(今回の検索条件)

ツール

検出件数

今回の検索条件での結果

GGGenome

554

最多

BLAST

255

Bowtie

81

ミスマッチのみ

完全一致(ED 0)を除く ED 1〜3 の候補数。

詳細な検索結果(編集パターン別)

表1 GGGenome、BLAST、Bowtie の検索結果比較

N/A は Bowtie 1 が gapped alignment をサポートしないため検索対象外であることを示します。「—」は元資料に数値の記載がないセルです。

完全一致検索

本クエリ、本データベースおよび本検索条件では、各手法とも同一の完全一致候補1件を検出しました。

編集距離2

GGGenome:7件/BLAST:5件/Bowtie:4件

GGGenome はミスマッチだけでなく、ミスマッチ+挿入、挿入のみなど、多様な編集パターンを検出しています。BLAST では一部のインデルを含む編集パターンで GGGenome より検出数が少なくなりました。Bowtie 1 は gapped alignment をサポートしていないため、挿入または欠失を含む編集パターンは検索対象外です。

編集距離3

編集距離3では差がさらに顕著になりました。GGGenome では編集距離3を構成する10種類の組み合わせのうち、3欠失のみの条件を除く9種類の編集パターンでヒットが検出されました。

BLAST では3ミスマッチについては77件と GGGenome と一致したものの、挿入・欠失を含むパターンでは検出数が大幅に減少しました。Bowtie ではインデルを含む編集パターンは検索対象外であり、比較可能な3ミスマッチ条件では GGGenome および BLAST と同じ77件が検出されました。

主なインデル条件での検出数(GGGenome / BLAST)

編集パターン

GGGenome / BLAST

mis2 + ins1

216 / 135

mis1 + ins2

83 / 15

ins3

104 / 7

mis1 + ins1 + del1

32 / 5

なぜ GGGenome、BLAST、Bowtie で検索結果が異なるのか?

GGGenome、BLAST、Bowtie は、想定される用途や検索アルゴリズム、検索条件が異なるため、同じ20-mer配列を入力しても検出される配列数が一致するとは限りません。今回の検索条件では、次の違いが検出件数の差につながりました。

検出件数の差は、アルゴリズムそのものの優劣ではなく、各ツールが対応する編集操作と、今回設定した検索パラメータの違いによるものです。

考察

この差は、各検索アルゴリズムの設計思想に起因すると考えられます。

GGGenome

短鎖配列をクエリとした、編集距離に基づく網羅的な近似検索を目的として設計されており、ミスマッチだけでなく挿入・欠失を含む候補を漏れなく列挙することを目指しています。

BLAST

word hit を起点としてアラインメントを伸長するヒューリスティックな局所アラインメント手法です。本評価では、ミスマッチのみの条件では GGGenome と同数の候補を検出した一方、インデルを含む条件では検出数が少なくなりました。この差には、BLAST の探索アルゴリズムに加えて、word size、スコアリング、ギャップペナルティなどの検索パラメータが影響した可能性があります。

Bowtie 1

BWT/FM-index に基づく短鎖リードアライナーで、本評価で使用した -v 3 -a 条件では最大3ミスマッチまでの非ギャップアラインメントを列挙します。gapped alignment をサポートしないため、挿入または欠失を含む条件は本比較の対象外です。

結論

本評価では、VIM転写産物 NM_003380.5 の5′末端20塩基をクエリとし、D3G Human genome GRCh38.p14 を検索対象として、編集距離3以内の近似一致候補の検出数を比較しました。本クエリおよび本検索条件では、各手法とも完全一致候補1件を検出しました。完全一致を除く近似一致候補数は、GGGenome 554件、BLAST 255件、Bowtie 81件であり、GGGenome の候補数が最も多くなりました。

ミスマッチのみの条件では、3ツールの検出数は一致しました。一方、インデルを含む条件では、BLAST の有効候補数が GGGenome より少なくなりました。Bowtie 1 は gapped alignment をサポートしないため、インデルを含む条件は検索対象外です。

GGGenome、BLAST、Bowtie の比較についてよくある質問

Q. GGGenome、BLAST、Bowtie の検索結果数が異なるのはなぜですか?

A. 各ツールで検索アルゴリズムや検索条件が異なるためです。

同じ配列を入力しても、ミスマッチやギャップの扱い、アラインメント方法、出力条件によって検索結果数が変わります。今回の条件では、GGGenome は編集距離に基づき挿入・欠失を含む候補を列挙し、BLAST は word hit を起点に伸長する局所アラインメントを行い、Bowtie 1 は gapped alignment に対応しないためインデルを含む条件が検索対象外となりました。

Q. 今回の結果は GGGenome が BLAST や Bowtie より高精度という意味ですか?

A. いいえ。

今回比較しているのは、本ページで設定した条件下で検出された20-mer近似配列の件数です。一般的な検索精度、感度、処理速度などの性能を直接比較したものではありません。

Q. オフターゲット候補の探索にはどのツールが適していますか?

A. 検索対象、配列長、検索目的、必要な検索条件によって異なります。

本評価の条件、すなわち20塩基前後の短鎖配列に対して編集距離3以内の挿入・欠失を含む候補を漏れなく列挙する場合には、GGGenome が対応しています。一方、許容するミスマッチ数やギャップの要否、検索対象データベースが変われば適したツールも変わります。用途に応じた条件設定については個別にご相談ください。

Q. 検索する配列長や条件を変えると結果は変わりますか?

A.はい。

配列長、許容するミスマッチ数、ギャップ、検索対象データベースなどの条件によって検索結果は変化します。本ページに示す件数は、記載した単一のクエリと検索条件における結果です。


参考文献

  1. GGGenome, Help / Database Description, DBCLS.
    GGGenome Help

  2. Jan Fassler, Ph.D. and Peter Cooper, Ph.D., BLAST Glossary, July 14, 2011.
    BLAST Glossary

  3. Ben Langmead, Cole Trapnell, Mihai Pop, Steven L Salzberg, Ultrafast and memory-efficient alignment of short DNA sequences to the human genome. Genome Biol. 2009 Mar 4;10(3):R25.
    PMC2690996

  4. Bowtie Manual, Bowtie 1 documentation.
    Bowtie Manual

トップページへ戻る

chevron_right

資料請求はこちらから

chevron_right

メールでのお問い合わせ

info_bio@retrieva.jp

© 2026 Retrieva, Inc. All rights reserved.

レトリバのバイオAI事業について

事業紹介ページへ